テーマ66 管理職者として相反する課題の考え方
■管理職者としての「謙虚さと強引さ」
「人としての温かい心情と冷徹なまでの理」
管理職者は、自分の未熟なところを自覚をし、
常に謙虚な気持ちを忘れずにいないと、
上司や部下の話に耳を傾けなくなり、
周りから傲慢な人間と思われるようになります。
一方、管理職者として、上司や部下の話に耳は傾けるものの、
確固とした強い自分の意志を貫き
強いリーダーシップを発揮する場面も必要となります。
必要に応じて、強いリーダーシップを発揮しないと、
リーダーシップがないと思われます。
孫子の兵法に、将には、「仁」と「厳」が必要との記述があります。
「情としてはしのびなくても、集団の規律のためには、
厳しい態度を部下にとらざるを得ないときもあり、
また人としての心が理解できず冷徹なだけでは部下はついてこない。
部下に対する「仁」と「厳」の関係は、
「仁」がなければ部下はついてこない。
「厳」がなければ、集団の統制がとれないということです。
管理職者は、常に上記のような矛盾に直面し、
心の中で葛藤を繰り返しております。
アメリカの作家のスコット・フィッツジェラルド氏の言葉に、
「相矛盾する両極端の性格を併せ持ち、
それを矛盾なく機能させられる能力を持つ人のことを
最高の知性の持ち主という」
という言葉があります。
判断するときや考えるときの基本は、
「仕事の目的、目標を達成のためにはどうするのがよいのか」、
「会社や担当部署の発展のためには、どうするとよいのか」、
「部下の成長のためにはどうするとよいのか」
などということになります。
個人的な職場での人間関係や自分の評価を判断の基準としてはいけません。
いずれにしましても、スコット・フィッツジェラルド氏の言葉にあるように、
「相矛盾する両極端の性格を併せ持ち、
それを矛盾なく機能させられる能力」を管理職者として持つためには、
日々の仕事の中で、矛盾点を意識し、
仕事の目的、目標の達成を大前提として、
よく考え、行動することが重要です。
■心からの対応が重要
部下を自分の業績アップのために、
要領よく自分の手足のように使い、
それでよしという考え方はよくありません。
人使いがうまいことを演出するため、笑顔を振りまき、
裏では部下を踏み台にするような方法を用いたりしてもいけません。
「上、三年にして下を知り 下、三日にして上を知る」
という言葉があります。
上司は、部下のことを知るのに3年かかるのに、
部下の方は、3日で上司の能力や性格を知るということです。
実際の職場の中では、部下の方の信頼を得るのは、
3日では、難しいかもしれませんが、
信頼ができない上司であることを部下の方が見抜くのは、
3日でできるかもしれません。
相反するような難しい課題に直面した時でも、
私利私欲にとらわれることなく、
あくまでも仕事の目的、目標の達成を視点におき、
心から部下の成長やモチベーションの維持向上を
考えた仕事の与え方やコミュニケーションをとることが、
上司や部下の信頼を得るために重要です。
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